国民年金における第3号被保険者制度廃止をめぐる議論について
【国民年金における第3号被保険者制度の廃止】をめぐる議論が最近多く取り沙汰されています。質問を受ける機会も多くなってきました。

第3号被保険者とは?

まず、第3号被保険者とは何?というところからですね。
ざっくり言うと、【会社員(第2号被保険者)や公務員に扶養される配偶者】です。
そして、論争のタネになっているのが、【第3号自身はまったく年金保険料を払っていないのに、払っている人と同じように老齢基礎年金を受け取れる第3号制度は不公平】といったことろでしょうか。
3号制度が出来た背景は?
では、なぜに3号制度が存在しているのでしょうか?その背景を見ておきましょう。
昔の日本、専業主婦が多かった時代です。旦那さんの収入に依存する専業主婦の老後を年金制度で保護してあげようと作られたんですね。つまり、第3号制度は、働きたくても働けなかった時代に女性のためのセーフティネットとして生まれたと言えます。
ところが、生活もどんどん多様化していきます。共働き世帯や単身世帯が増え、女性の社会進出が当たり前となった現代においては、「保険料を払わずして年金を受け取れる第3号制度って必要なのか?不公平じゃない?」というわけです。
本当に不公平なの?

ただ、感情論で「保険料を払わずして年金をもらえるのはおかしい」と断じるのは簡単ですが、実際には現行年金制度の仕組みを踏まえると一概に不公平とは言えない面もあります。
なぜなら、第3号の老齢基礎年金の財源は、厚生年金から国民年金へ流れたお金と国庫負担で賄われており(要するに第2号の保険料と国庫負担)、第2号の厚生年金保険料が第3号の年金を間接的に支えていると解釈できるからです。
つまり、【第2号が払っている保険料は、自身と扶養家族(第3号を含む)の分であり、第3号の保険料が全く払われてないわけではない。ただ第3号は直接払っていないだけ】と言えるわけです。
それでも自営業など国民年金を夫婦2人分満額支払う場合と比較すると、負担額と給付内容のバランスに差があるのでは?と不満は出るとは思いますが。
第3号制度が引き起こす関連問題とは?

さらに、この第3号制度が引き起こす現実的な問題として、「年収の壁」が注目されています。
要するに、生活費の足しにとパートタイムで働くにしても、稼ぎが一定額を超えてしまうと強制的に扶養から外れ、第3号でいられなくなる(自身で社会保険料を払うことになる)という問題です。
結果として、保険料負担が生じる事を避けるために、パートタイム労働者が働く時間をあえて抑えます。これが労働力不足の一因になり経済全体への影響しているのではないかとも言われています。
廃止されたらどうなる?
では、もし本当に廃止されたならば、現在の第3号被保険者はどうなってしまうのでしょう?
これまで第3号だった人は、【第1号被保険者として国民年金保険料を払う】or【会社員(第2号被保険者)になって給料から保険料を天引きされる】のどちらかになります。これは、家計バランスも今までと変わってきますから、簡単には受け入れがたい話でもあると思います。
現在においても、現実に子育てや介護などで就労が難しい人が存在しているわけです。最後のセーフティネットさえも廃止するならば、段階的に移行する、支援対象を「貧困リスクの高い低所得者層」に限定するなどしておかないと無年金者が増え、社会保障そのものの目的が損なわれる恐れもあります。
最後に
いずれにしても、議論自体は、社会の変化にあわせて年金制度を見直す必要性があるという点でしていくべきだと思います。少子高齢化に歯止めがきかない中、現役世代が負担する賦課方式の年金制度をどこまで維持できるのか?というテーマもありますが、現実的な影響や制度全体の整合性を慎重に検討する必要があると思います。
なにより、第3号は「タダ乗りしている」から「社会保障として受けて当然」と思ってもらえるような制度に近づけていくことが大切ですよね。


