外国人労働者の社会保険
近年、日本では外国人労働者の受け入れが拡大し、2025年時点で多くの企業が多国籍な人材を雇用しています。

「特定技能」や「技能実習」などの在留資格を持つ労働者が増加する中で、社会保険労務士として彼らの社会保険および雇用保険の資格取得届を代行する機会も増えました。
厚生労働省が発表する「外国人雇用状況の届出状況」(2023年10月末時点)最新のデータによると、外国人労働者数は 約205万人 でした。これは過去最高を記録で、前年比で約12%増加しています。
政府が「外国人材受け入れの運用方針」を閣議決定し、「外国人の安定的な活動を支え、生活支援を行う」方針を打ち出しました。この動きは、今後も人手不足対応を名目に受け入れ拡大を進める意図が明確です。
今回は「外国人労働者の手続きには日本人とは異なる手間や注意点が存在する」をテーマにして、外個人労働者の社会保険資格取得手続きについて見ていきます。
在留資格の確認

外国人労働者の場合、まず大前提として在留資格が就労可能かどうかを確認する必要があります。
例えば、「特定技能1号」は、特定職種(建設、介護など)に限定されているわけですから、雇用契約の内容と一致している必要があります。
一方、「留学」や「家族滞在」の在留資格では、資格外活動許可がない限り正社員としての加入はできません。
-具体例-
フィリピン人労働者ジョセフさんが「特定技能1号」で食品加工・製造業に従事する場合、雇用契約書に「製造業務」と明記されているか確認します。もし『事務職』として雇用されている場合、在留資格違反となり、雇用自体が法的に認められず、社会保険や雇用保険の手続きも進められません。
書類収集と不備対応

一般的に、雇用主が在留資格やマイナンバーを確認する際にコピーを収集しますが、在留期間更新中の場合は「在留期間更新許可申請書」の受理証明書が必要になることもあります。
また、外国人労働者を初めて雇う場合など手続きに不慣れな状況ですと、不備(書類間での内容の不一致等)が発生する可能性があります。
氏名表記の統一性

『出典:外国人雇用のルールに関するパンフレット 厚生労働省』
外国人の氏名は、漢字、ローマ字、母国語表記が混在することがあります。
例えば、フィリピン人ジョセフさんの場合、「Joseph Santos」が一般的ですが、場合によってはミドルネームが加わることがあります。
社会保険および雇用保険の手続きでは、在留カードに記載された氏名を基準に記載するのが基本です。雇用契約書との一致も確認しておきます。
-具体例-
フィリピン人労働者ジョセフさんのパスポートでは「Joseph Santos」なのに、在留カードでは「Joseph Dela Cruz Santos」と記載されていた。手続きの過程でどちらを記載するのか?なんて事が発生します。
外国人雇用状況届出書の追加対応
「外交ビザ」「公用ビザ」「特別永住者」以外の在留資格を持つ外国人を雇用する場合、外国人雇用状況届出書の提出が必要です。これは、全ての事業主に義務付けられている手続きで、外国人を雇い入れた場合や離職した場合にもハローワークに対して届出をします。
そして、この届出書は外国人労働者が雇用保険に加入する場合と雇用保険に加入しない場合で提出方法が変わってきます。

『出典:外国人雇用のルールに関するパンフレット 厚生労働省』
1、雇用保険に加入する場合、雇用保険資格取得届の『外国人雇用状況に関する情報欄』に国籍や在留資格を記載することで、外国人雇用状況届出の要件を兼ねることができます。

『出典:外国人雇用のルールに関するパンフレット 厚生労働省』
2、雇用保険に加入しない場合(例: 週の労働時間が20時間未満)、雇用保険資格取得届は不要ですが、外国人雇用状況届出書を別途ハローワークに提出する必要があります。
ざっくり言ってしまえば、
雇用保険資格取得届に一緒に記載するかどうかは、雇用保険に加入するかどうかによる。
加入する場合は雇用保険資格取得届で兼ねる、加入しない場合は別途届出が必要。
ということです。
絶対に忘れないようにしましょう。罰則がありますからね。。
-注意点-
・届出は義務です。場合により30万円以下の罰金が科されます。
在留期間管理とリスク
在留期間が雇用開始後に切れる場合は要注意です。
保険の加入手続きは、雇用開始時点で在留資格が有効であれば進められます。ただし、在留期間が更新されずに失効した場合、雇用継続が困難となり、保険資格も失効するリスクがあります。
最後に

外国人労働者の資格取得届は、在留資格の確認、書類収集、表記統一、追加届出、在留期間管理といった手間が加わります。
「面倒すぎる」「忙しい」「訳分からない」という時は、やはり専門家(社労士など)へ丸投げしてしまうのがいいと思います。


