中小企業の賃上げが難しい今、知っておきたいポイントは?社労士が解説

最近、「賃金アップ」というニュースがよく報じられています。大企業では給与が上昇する動きもありますが、中小企業ではどうでしょうか。信金中央金庫の調査によると、中小企業の約半数が「今年はベースアップ(基本給の底上げ)を見送る」と回答しています。経営者の方々には、「社員に還元したいけど資金に余裕がない」というのが現実だと思います。

賃上げが進まない根本的な壁

中小企業の賃上げが進まない背景には、二つの大きな壁があります。

一つは「価格転嫁の難しさ」です。
原材料や人件費が上昇しても、それを商品の価格に反映できず、自社で負担せざるを得ないケースが多いのです。
例えば、「人件費分を値上げすれば顧客が離れるのではないか」と懸念し、我慢を続けた結果、給与アップの余裕がなくなることもあります。


もう一つは「労働組合の不在」です。
中小企業では組合がない場合が多く、社員が賃上げを強く求めにくい一方、経営者も適切な水準を見極めにくい状況です。厚生労働省のデータによれば、組合がある企業の方が賃金の伸びが大きいことが分かっています。

さらに根底には「体力の差」があります。大企業は資金力や交渉力で取引先に値上げを認めさせやすいですが、中小企業は「利益が薄く余裕がない」と身動きが取れず、「これ以上どうしようもない」と感じるのも無理のないことです。

「既に対策済み」という声


「値上げ交渉を試みる」「助成金を活用する」「働きやすい職場を目指す」といったアドバイスに対し、「もうとっくにやってるよ!それでもダメなんだよ!」とおっしゃる方もいるでしょう。
例えば、「値上げを交渉したが元請けに断られた」「助成金の条件が厳しくて断念した」「人手不足で休暇も増やせない」といった声はよく耳にします。
確かに、国全体で価格転嫁を強制したり、中小企業に直接支援を増やしたりする「根本的な解決策」がなければ、課題の解消は容易ではありません。

現実の中で「小さな一歩」


では、具体的に何ができるでしょうか。

交渉の工夫

全面的な値上げが難しい場合、「特定の業務の単価だけ上げられないか」「納期を緩和してコストを減らせないか」と取引先に相談するのも一案です。意外と受け入れられる可能性があります。

助成金の再検討

過去にうまくいかなかった場合でも、条件が緩い助成金等を検討してみましょう。例えば、キャリアアップ助成金の簡易なコースなら、年間数十万円の支援が得られることもあります。

負担軽減の工夫

休暇増加が難しくても、業務の一部をアウトソーシングして社員の負担を軽減する方法があります。

根本的な解決策にはならないかもしれません。小さな一歩でもやってみる価値はあると思います。

賃上げは強制ではありませんし、会社の状況を見て対応して行くのが一番だと思います。
信金の調査でも、賃金が上がらないと消費が伸びず、景気全体が停滞すると指摘されています。特に中小企業は地域に根ざしている分、社員の満足が顧客への良い影響を生むのではないでしょうか。
社労士としてお伝えしたいのは、「無理をする必要はないが、小さな工夫で得することはある」ということです。