独身会社員(第2号) vs 自営業者(第1号)|第3号制度に不満が大きいのはどっち?

今回のコラムは、国民年金の第3号被保険者制度についてです。

知っている方は多いと思いますが、この制度は「不公平」な制度でもあります。
会社員の配偶者が保険料0で満額の年金をもらえる仕組みに、独身の会社員や自営業者から「ちょっと待て、何でそうなるの!?ずるくない!?」という声が度々上がっています。


今回はいつもとはテイストを変えて、この2つの陣営が第3号制度に抱くモヤモヤを比較し、独身会社員と自営業者どちらの不満が大きいのか?ちょっと分析してみようと思います。
制度の仕組みをわかりやすく解説しつつ、公平性の課題を探っていきます。

第3号被保険者って何? まずは制度をおさらい

国民年金の第3号被保険者とは、会社員(第2号被保険者)の配偶者で、年収130万円未満などの条件を満たす方。専業主婦やパート勤務の方が典型的です。この制度のスゴイところは、第3号の方は保険料を1円も払わずに老齢基礎年金(2025年度で満額年約81.6万円)を受け取れる点。その財源は、会社員の厚生年金保険料の一部と国庫負担(税金)で賄われています。一方、独身者や共働き世帯は同等の年金受給のために保険料を支払う必要があり、明確な不公平が生じています。厚生労働省のデータ(2023年)によると、第3号被保険者は約700万人で、この制度により年間約1.5兆円の財源が他の納付者や税金で補填されています

でも、ここで「ん?」ってなりますよね。

会社員が払っている年金保険料は、独身も既婚も関係なく、報酬が同額なら保険料も同額です
なのに、既婚者は同額で配偶者の年金までカバーでき、独身者は…「え、俺(私)のお金って、誰のために払ってるの?」ってなりますし、自営業者に至っては、夫婦できっちり2人分満額の保険料を払ってるのに、恩恵なんて何もないよ?ってなりますよね。 この不満の背景を、独身と自営業者それぞれで見ていきましょう。

独身会社員の不満:自分の保険料が他人の年金に?

まずは独身会社員からです。

会社員は、年収に応じて厚生年金保険料を払います。たとえば、年収400万円なら、保険料は年約73.2万円です(2025年度、料率18.3%)。そして、労使折半なので、本人負担は約36.6万円です。
独身でも既婚でも、年収が同じなら保険料も同じです。


問題はここからです。この会社員(第2号)や会社が支払っている保険料の一部が「基礎年金拠出金」として国民年金に流れ、第3号の年金にも使われます。
つまり、独身のAさんの保険料が、同僚Bさんの配偶者の年金に使われているんです。
Aさんの気持ち:「なんで私が他人の配偶者の年金を支えるの? ちょっと不公平じゃない?」

独身の不満ポイントをまとめてみます。

  • 他人の配偶者の年金への貢献:自分の払った保険料が、関係ない第3号被保険者の年金に使われる。メリット0なのに負担だけはある。
  • 既婚者との差:同じ保険料を払っているのに、既婚者は配偶者の年金もカバー。独身は「ただ払ってるだけ」感が強烈である。
  • 今の時代に合わない:2025年の単身世帯増加、共働き世帯の増加を考えると、「結婚してない俺(私)がなんで…」と言いたくなる。


ここで、既婚者から「結婚すれば自分だって第3号としての恩恵を受けられるのでは?」との意見が出るかもしれません。
これに対し、独身側はこう反論します。
「結婚は個人の選択。今、独身の私が他人の配偶者の年金を払うのは納得できない。結婚しない生き方だってあるんです!」 この反論、現代の多様なライフスタイルをバッチリ反映していますね。

自営業者の不満:夫婦でフル負担、会社員はズルい?

一方、自営業者の不満は、負担の重さと会社員との格差にあります。

自営業者(第1号)は、国民年金の定額保険料(2025年度で月1万6,980円、年約20.4万円)を全額自己負担です。
夫婦なら、2人分で年約40.8万円も払います。受給は1人につき基礎年金満額約81.6万円です。自分の保険料は自分の年金に直結する、シンプルな仕組みです。

でも、会社員と比べるとモヤモヤが。 会社員は、年収400万円なら本人負担約36.6万円で、自身+配偶者(第3号)の基礎年金をカバー。労使折半で負担軽め、さらに厚生年金までゲットします。
自営業者の気持ちとしては「夫婦で年約40.8万円払ってるのに、会社員は1人分で配偶者タダ乗りなんてズルい!」

自営業者の不満をまとめてみます。

  • 負担額の格差:夫婦で2人分満額(40.8万円) vs 会社員の1人分(36.6万円)。労使折半もないから財布が痛い。
  • 第3号の「タダ乗り」との格差:会社員の配偶者が保険料0で満額年金をもらえる。なんで自営業者にはないの?
  • 制度の不均衡:自営業者は「1人1口」の原則なのに、会社員は「1人分の保険料で2人分カバー」。バランスおかしくない?

比較表:独身会社員と自営業者


不満の比較表

独身会社員(2号)自営業者(1号)
不満の内容保険料が他人の第3号被保険者の年金に使われる。既婚者は配偶者の年金をカバー。
「他人の年金に貢献」は理不尽。メリットゼロ。
夫婦でフル負担(年408,000円)。会社員は1人分で配偶者もカバー。
負担重いが、自分の年金に直結。「他人のため感」は独身より軽い。


-結論-

独身会社員の不満の方が説得力がある気がします。自営業者の負担の重さも深刻ですが、「自分のため」と割り切れる分、心理的ダメージは独身に比べ軽めと判断しました。

3号被保険者制度の課題と今後

第3号被保険者制度は、1986年の年金改革で生まれました。当時は専業主婦世帯が多く、「会社員の保険料で配偶者を扶養」は自然な設計でした。でも、2025年の今、共働き世帯(女性就業率約53%)や単身世帯が増え、制度が時代に合わないと言われています。

独身会社員の保険料が「他人の配偶者」に流れるのは、国民年金の「賦課方式」(現役世代の保険料で今の受給者を支える)に起因しています。保険料は個人単位じゃなく、国民年金全体のプールに流れ、第3号もそこから支払われます。
自営業者の不満は、労使折半の不在と第3号の優遇による「1人1口」の厳しさにあります。子育てや介護で大変なのは自営業者の配偶者も会社員の配偶者も同じはずです。

今後の方向性として、以下が検討、既に実施されています。ただ、制度見直しには第3号本人の反発であったり、財政課題も多く、そう簡単には変わりそうもありません。

  • 制度見直し:第3号廃止、第3号への一部保険料負担の導入で、負担を公平に。
  • 厚生年金拡大:パート労働者への社会保険適用拡大(2024年10月から従業員51人以上の企業)。第3号を減らす一歩。
  • 負担軽減:低所得者への免除拡充や、失業時の支援強化。