就職氷河期世代の老後貧困リスクと社会保障の課題
最近、「就職氷河期世代が老後に貧困に陥るリスクが高まっている」というニュースを目にしました。40~50代のこの世代が、年金だけでは生活が成り立たず、生活保護に頼るケースが増える可能性が指摘されています。今回はこの問題を取り上げて分かりやすく解説していきます。
就職氷河期世代が直面する年金の問題
就職氷河期世代とは、1993年から2004年頃の就職難の時期に社会に出た約1,700万人です。バブル崩壊後の厳しい雇用環境で、非正規雇用を余儀なくされた人が多く、厚生年金の加入期間が短い傾向にあります。そのため、老後の収入は国民年金(基礎年金)が中心となるケースが少なくありません。
基礎年金の仕組み
国民年金保険料を40年間納めると、満額の基礎年金を受給できます。2025年度の満額は月額約6.9万円です。しかし、経済的理由で保険料の免除や未納期間がある場合、受給額は減額されます。
| 満額受給額(2025年度) | 月約6.9万円(40年間保険料納付の場合) |
| 減額の要因 | 保険料の免除・未納期間がある場合、受給額が比例して減少 |
| 影響 | 低年金では生活費を賄えず、生活保護受給のリスクが高まる |
一方、東京23区の生活保護(65~74歳)の基準額は、生活扶助と住宅扶助を合わせて月約13.5万円。医療や介護の自己負担がなく、年金との差額を補填する形で受給可能です。
つまり、基礎年金だけでは生活が厳しい場合、保護に頼る人が増えると予想されます。
生活保護との「逆転現象」と制度の課題
基礎年金の受給額が生活保護の基準額を下回る「年金逆転現象」が問題です。保険料を納めた人が、未納者より貧しい生活を強いられるケースが生じかねません。この状況は、「年金より生活保護の方が得」と感じる人を増やし、制度への信頼を損なうリスクがあります。
さらに、少子高齢化による年金財政の悪化で、基礎年金の給付水準は2057年度までに約3割下がると予測されています。生活保護との差が広がれば、公費負担の増大や社会保障全体の持続性が危ぶまれます。
氷河期世代の置かれた環境
氷河期世代は、新卒採用を重視する日本の雇用制度の中で、正社員の道を逃すとキャリア回復が難しい時代に直面しました。非正規雇用の増加は、厚生年金の加入機会を奪い、老後の経済的基盤が国民年金(基礎年金)のみになるという脆弱な状況にしました。
また、未婚率の高さや親からの遺産がない場合、単身で老後を迎える人も多く、頼れる家族がいない状況は貧困リスクをさらに高めます。
解決策はあるのか!?
このような背景を持つ人々が、老後に生活保護に頼らざるを得ない現状は、制度の不均衡を象徴しています。
氷河期世代の老後貧困を防ぐには、年金制度の改善と生活支援の両方が必要です。以下に、具体的な提案を挙げます。
(1) 基礎年金の底上げ
政府は厚生年金の積立金を活用した基礎年金の増額を検討しましたが、実現していません。低年金者の生活を支える仕組みの構築が急務です。
(2) 高齢者向けシェアハウスの整備
慶応大学の駒村康平教授は、「生活支援サービス付きの高齢者向けシェアハウスを整備すれば、生活費を抑え、孤独や貧困を防げる」と指摘しています。共同生活は家賃や光熱費の分担、健康維持のための見守り、地域活動への参加を促す効果が期待できます。
| メリット | 具体例 |
|---|---|
| 生活費の削減 | 家賃や光熱費を複数人で分担 |
| 健康維持 | 共同生活によるコミュニケーションや見守りの機会増加 |
| 社会参加 | 地域活動への参加促進 |
(3) 高齢者の就労支援
年金に頼らず生活を維持できるよう、高齢者向けの就労機会を増やす必要があります。短期間で成果を上げられるリスキリングや、シニア向けの柔軟な働き方(パートタイムや在宅ワークなど)の提供が有効です。
(4) 生活保護制度の見直し
生活保護が「年金より楽」と感じられる状況を改め、働く意欲を損なわない制度設計が必要です。たとえば、就労収入の一部を保護費から控除するルールを見直し、働く高齢者の経済的インセンティブを高めることが考えられます。
※社会保障の公平性への懸念
一部では「外国人に生活保護を支給するために日本人の税金が使われている」との不満がSNS上で見られます。厚生労働省のデータによると、2023年度時点で生活保護受給者のうち外国人は約2.5~3%程度であり、財政への影響は限定的かと思われます。それでも、就職氷河期世代のような国内の困窮者が十分な支援を受けられない状況では、こうした声が高まるのも理解できます。
生活保護制度を見直す際は、税金の使途の透明性を高め、国内の低年金者や無年金者への支援を優先する仕組みを検討すべきだと思います。


